コロナ禍と妊娠
私のマタニティライフはコロナと共にありました。
得体の知れない未知のウイルスに恐れ戦き、翻弄された日々でした。
妊娠3ヶ月頃からコロナのニュースを聞くようになりましたが、地方在住の私は呑気に構えていました。
「東京のドラッグストアからマスクが消えている」とニュースでやっていましたが、
近所のドラッグストアには箱入りマスクが山積みされおり、「都会の人は大変だなぁ~」とボンヤリ思っていました。
数日後、「なぜあの時マスクを買わなかったのか」と深く後悔しました。
嘘のようにスッカラカンになっていたのです。ネットストアでは法外な値段で販売されており、状況の深刻さを知りました。
妊娠中の私は慌てふためき、売れ残っているマスクを探しに車を走らせました。
幸い、「スモールサイズのマスク」は袋売りのものが残っていました。
大顔の私が敬遠する「小さめマスク」ですが、この時は宝物を発掘した気分でした。
小さめマスクを付けて安心したのもつかの間、物資不足はまだ続きます。
赤ちゃんのガーゼハンカチ、ガーゼタオル、ベビー体温計、消毒液等が商品棚から姿を消しました。これらは入荷のタイミングを見計らい、頑張って手に入れました。
母子手帳を受け取った時には「是非参加してね」と言われていた各種母親学級も軒並み中止になり、妊婦健診は付き添い禁止になり、妊娠生活はソロ活動になりました。
私は元々がソロ活気味なので、これらは苦になりませんでした。
苦痛だったのは感染への不安を抱えながら生活した事です。
当時、「妊娠後期に感染した女性から生まれた赤ちゃんに問題はなかった」とニュースで見ましたが、妊娠初期に感染した場合の例は無く、またコロナ治療薬のアビガンは妊娠中は使用できないと言われていました。
そして県内で感染者が出ると「何処何処の誰々さんらしい」等と瞬く間に噂が広がっており、社会的にも大変恐ろしいウイルスでした。
そんな訳で私はコロナウイルスに怯えていました。
外食はもちろん無し、外出も出来るだけ無し、職場でのお昼は時間をずらして人がいない時間にとり、目からの感染を防ぐ為に花粉用メガネを新調し、人が多い所を歩く際は息を止めていました。
思い描いていたものとはかけ離れていましたが、強く記憶に残るマタニティライフとなりました。嫌な思い出かと言われるとそうでもなく、「あの時は必死だったなぁ」としみじみ思い出すのです。